![]() ![]() MOVE Art Management(以下M):穴薪ペインティングの活動について聞かせてください。 穴薪ペインティング・大西真平氏(以下「穴」):「穴薪ペインティング」は、従来のアートファンではない層にまで、アート市場を広げたいと思って始めた活動です。1年半前から始動して、今は、メンバーは二人です。 M:穴薪さんの作品は、インテリアショップでも販売してますよね? 穴:そうですね。手に取ってもらう楽しみを味わうためのプレゼンテーションができれば、と。ギャラリーはコアなアートファンな人は来るけれど、それ以外の人には来て頂けないですよね。であれば、ちょっとおしゃれなカフェやインテリアショップとかで販売してみた方がとっつきやすいのではないかと。 洋服屋さんでも売ってるんですけど、自分の好きな洋服とか音楽を買うような気分で、アートを楽しむ人が増えていくにはどうしたらいいかなと考えました。そこで最初は1点3,000円とかって値段をつけてみたらどうなるだろう、と。 M:や、安い…! 穴:さすがに今は3,000円では売ってませんが、プロダクトラインの作品は基本的には10,000円前後です。 M:活動コンセプトに「作品に一定の意味を持たせてない」と書かれていますよね 穴:そうですね M:だからこの絵自体には意味はないってことですよね? 作品を人が買うところを目的としているのはよく理解できたんですが、それがアートなのかどうかというのを凄く聞きたいです。 穴:例えばリクリット(※1)が出しているタイカレー自体がアートかといわれればアートではないけど、 ギャラリーで料理を振舞うという行為がアートとなっていますよね。それと似たような風にとらえていただいてもかまわない。今までの常識からしたら、アーティスト自身が自分の作品のセールス・プロモーションをするってことはありえなかった。例えば杉本博司さんが「僕の写真、こんなラインナップ揃えてます。」ってカタログ販売のような方法は取らないですよね? M:新しい方法を作っているってことですね。 穴:作りたいな、と。僕たちの作っている絵は、通常「アート」と言われる作品と違って絵自体にコンセプトを潜ませていません。「この絵はこのモチーフ、この構図に意味がある」という表現方法を自分たちのプレゼンテーションのコアにしていない。例えば花屋さんで花を売るってことで、この絵は(作品2→)はケーキの形だとか椅子の形で花のビジュアルをクロップしている作品なんですが、この手法自体は斬新でもないし、それ自体がアートだって言う風には思っていなくて…。M:このプロジェクトそのものがアートってことですよね。とにかくその目的は1つで、アート市場を拓いていくというプロセスが、アート。 穴:編集者でギャラリーをやっているGさんのトークショーに行ったときにGさんが仰っていたのが、結局「役者が少なすぎる」と。今例えば現代美術の枠内にいるアーティストで、アートのみで食べてる人間は、基本的にコマーシャル・ギャラリーで取り扱われている人だけで、その人たちはバーゼル(※2)に行けたり国外のマーケットにもデビューできる。それの枠に外れたものがよくないかと言えばそうではなく、ただ、ピックアップできる役者がもっと増えていけば… M:「役者」というのはアーティストではなく、アーティストを見いだす人ってことなんですね。 穴:そうです。小山登美夫さん(※3)のような人は、今、日本には10人くらいしかいないわけですよね?そういう人が20人30人になっていったら、もっと幅が出てくると思う。それはそれとして、僕らが下から裾野からひろげて行く。アートの趣味を持ってもらうこと自体も、そこにビジネスチャンスが生まれれば、力を持っている人が新たに参入する可能性がありますよね。 M:ところで、「穴薪」の名前の由来は? 穴:これはメモらなくてもいいんですけど(笑)メンバーの好きな女の子の名前を合体させて…。最初の企画では個人名「穴薪可南子」っていう作家名でのアーティストをたてようとしていて、今まではプロダクトラインの販売を主としてきましたが、やっとアートラインのものに取りかかり始めました。 ![]() M:凄い複雑な絵(作品1)ですね〜 穴:ジャンルとかコンテキストとか全てから逃げられるような複雑な絵を、と「こういう絵でしょ」というのではなく、一度描いた絵から引用したりして描いています。結局、アートとして認知してもらう方法もとらないとプロダクトのみの側面しか出て行かないので。 プレゼンテーションの方法や値段を分けていって(価値を)構築していきたいので。で、その価値体系をちゃんと消費者に納得してもらえればと。 M:ブランディングしていく 穴:はい。今後、メディアで商業的に使用されればとは思っています。作品の貸し出しが増えていけば、ブランディングはしやすい。 アート以外の活動では、飲食店の店内に飾る絵をあるテーマで統一して、ショップカードから、ビジュアル・アイデンティティーの構築までできれば楽しいかな、とも思っています。 M:穴薪ペインティングさんの作品は、いろんな見え方をして面白いですね。雑貨だといわれれば雑貨に見える人もいると思うし、アートだと見る人もいて、アートとデザインの中間にありながらもそれぞれにチャンネルを合わせてるのが面白いなと思いました。 穴:絵を描くことに情熱を持っていて、絵で作家になりたいという人間だったらそうは行かなかったと思うんですね。二人ともコンセプチュアルな作品ばっかり作っていたのでどうしても一回冷静になってしまうというか。 M:だからシステム作りというかたちで、プロジェクトとして成り立つのでしょうね。このまま裾野が広がって行って、「なんか穴薪ペインティングの絵を持っている」って人が増えていって、さらに他のアーティストのラインも出していったりできると、コンセプトにあるアート市場の構築というのができていくんだ、と「なるほど」と思いました。 穴:例えば6畳一間に住んでいてもちっちゃい作品なら買えて「僕、ああいう作品好きなんだよね」って話題が出るようになっていけばいいな、と思って。嬉しいのは、ウェブで注文してきた人が、「あそこでも買いました、今5点持っています」とか報告してくれる。そういう人が結構いるんですよ。 M:コレクターですね。すばらしい!その人の家に行ったら、部屋に穴薪作品がずらっと並んでいるのでしょうね。 ![]() __________________________ *今は描かれた絵の販売を中心に行っていますが、一時期は個人の方のために絵を描き下ろすプロジェクトも展開していた穴薪ペインティング。桜の季節にオーダーメイドで制作した桜の絵は、キャンバスの裏に指輪の絵を潜ませ、発注した方が、恋人に渡しつつプロポーズしたというエピソードも。穴薪さんはそんな風に、生活必需品ではないと捉えられがちなアートを、日常に密着させる提案を、これからも行っていくことでしょう。 __________________________ ※1 リクリット・ティラバーニャ:タイの外交官の家庭に育ち、様々な国を転々とする。90年に行った会場で観客にタイ料理を振る舞う展覧会、ギャラリーに音楽スタジオを設置しアマチュアバンドに提供するインスタレーションなど、本来美術のための空間に人々が共有(参加)できる要素を持ち込む作品で知られる。各国での展覧会に精力的に参加、画廊に自分の生活空間を移すプロジェクトなど、定住を放棄するかのような活動を続けている。 ※2 バーゼル:アートフェア。正式名称Art 35 Basel。スイス第二の都市、バーゼルで開催される世界最大のアート見本市。30年以上の歴史を持つ、この見本市は、厳しい審査を通過した一流のギャラリーのみが展示できるというクオリティの高さと、アメリカ、ヨーロッパの主力ギャラリーが一押しする作家や作品を一度に見られるという便利さゆえ、アート美穂に地としては世界一と言われている。 ※3 小山登美夫:「小山登美夫ギャラリー」を運営するギャラリスト。村上隆、奈良美智らを発掘した、日本の現代アートを牽引する存在。 __________________________ Profile穴薪ペインティング ANAMACHY PAINTING 金子雄輔と大西真平で運営するプロジェクトの名称。 穴薪可南子と言う架空のアーティストを設定し、アーティストのブランディングを行う。 主な展示販売場所として、インテリアショップやアパレル、カフェなどの店鋪を選びターゲットをアートファンに絞らず展開。様々な作品のラインを持ち、ブランドとして育てている。 主な展示は、2004年12inchiサイズのペインティング約200点を展示(OFFICE)、2005年[ANIMALS]TMS(CIBONE外苑前店、自由が丘店)他。 < 前のページ次のページ >
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